チャド労働法典(Loi n°38/PR/96)は、契約の署名場所、当事者の居住地、国籍にかかわらず、チャドで行われる仕事の契約に適用されます。雇用主は、公的または民間の自然人・法人で、指揮権と権限の下で1人以上を有償で働かせる者です。裁判官、軍、常勤の公的行政職員、特別な身分制度に服する国・地方行政機関の職員には、別の制度が適用されます。 事業所は営業開始前に労働監督局(Inspection du Travail)とONAPEへ届け出ます。ONAPEは労働省所管の雇用機関で、求人・求職、労働力統計、外国人労働者の採用経路を扱います。雇用主は関連省令の指示に基づく人員申告を提出し、職場に雇用主登録簿を備えます。登録簿は労働監督官が閲覧できる状態にし、最終記入から5年間保存しなければなりません。労働監督局は法令順守の確認、雇用主・労働者への助言、調停、違反記録を行います。監督能力は限られており、2026年のILO調査では労働監督官は102人で、交通手段と事務所の制約に関連した不定期監査が報告されています。 雇用記録には実際の雇用関係と期間を記載します。有期契約(CDD)は書面で作成し、終了日または期間を明記し、認められた更新を含め通常最長2年です。終了日が明確でないCDDは、欠勤者の代替、季節・キャンペーン労働、業務量の一時的増加、通常と異なる業務などの場合に限られます。6か月から2年のCDDにはONAPEの承認が必要です。労働法典上の試用期間は管理職で最長6か月、事務職、技術者、監督者で3か月、その他の労働者で1か月です。一般労働協約には、一部の職種でより短い期間が定められ、時間給労働者は15日、月給労働者は1か月、幹部と第一線監督者は3か月で、1回更新できます。 従業員が25人以上の工業・商業施設には、職場内規則が必要です。労働組織、懲戒、衛生・安全、賃金支払方法を定めることができます。雇用主は労働者代表と協議し、労働監督局へ3部提出し、監督官が違法と判断した条項の変更・削除を求めた場合は対応します。従業員10人以上の企業は徒弟制度の発展を支援しなければなりません。継続訓練は組織の必要や利用可能な仕組みに応じ、社内外で行えます。 同一または同等の労働には、出自、国籍、性別、年齢による差別なく同一賃金を支払います。適用される最低賃金(SMIG、SMAG)は、代表的な雇用主・労働者団体との合意を経て法的拘束力を持つ法定基準です。現在の名目額は個別に確認が必要です。業種別賃金区分や労働協約でより高い最低額が定められる場合があります。出来高払いや請負型賃金は、同等の時間給を下回ってはなりません。 農業以外の労働時間は通常、週39時間までです。農業労働は年2,400時間が上限です。時間外労働は、労働監督官への通知または情報提供の上で雇用主が決定し、特別規則がない限り通常は年94時間、1日11時間、週54時間までです。割増賃金は適用される政令に基づき、労働協約で上乗せされることがあります。労働者は連続24時間以上の週休を受け、通常は日曜日です。年次休暇は実労働月ごとに2労働日付与され、通常1年後から取得できます。雇用主は少なくとも15日前に通知し、休暇開始前に休暇手当全額を支払います。採用地以外で働く場合、適用規則に従い、雇用主には本人や家族の移動費用に関する義務もあります。 社会保障は国民社会保障基金(Caisse Nationale de Prévoyance Sociale、CNPS)が管理します。雇用主と労働者はCNPSに登録し、雇用主は新規労働者ごとの雇用届を提出し、雇用終了時には資格喪失証明を取得します。労働者負担分を含む保険料全額を納付します。従業員20人以上の雇用主は毎月、それ未満または家事労働者を雇う雇用主は四半期ごとに納付します。賃金申告は、大規模区分では報告月の翌月20日まで毎月、小規模区分では各四半期の翌月20日までに提出します。未申告の場合、当局が職権で課税することがあります。保険料算定対象月給は50万CFAフランを上限とし、SMIGを下回れません。標準保険料総額は20%で、雇用主16.5%(家族手当、労災・職業病、老齢・障害・遺族年金)、労働者3.5%(年金)です。民間部門に出向中の公務員は、雇用主負担率が11.5%に減額されます。労災は48時間以内、不可抗力の場合は72時間以内にCNPSへ届け出ます。CNPSは18の地域事務所を運営しています。 雇用主は清潔な職場、安全な機械、事故・職業病の予防、新規採用者、職務や技術が変わる労働者、6か月を超える休業から復帰する労働者への実務的な安全訓練を提供します。アルコールを含まない飲料水を用意し、安全対策を継続的に見直します。危険な状況では労働監督官または医療監督官が対策を求めることができ、差し迫った危険には直ちに執行できる措置が必要です。従業員50人以上では衛生安全委員会(Comité d'hygiène et de sécurité)が必要です。年2回以上会合を開き、年次報告を作成し、匿名化した事故・職業病情報と議事録を1か月以内に労働監督局、医療監督官、CNPSへ送ります。委員は委員会業務に年10時間の有給時間を受け、報復から保護されます。 労働者は自由に労働組合へ加入・支援できます。雇用主は、採用、仕事の割当、訓練、昇進、懲戒、賃金、給付、異動、解雇において組合活動・加入を考慮してはならず、組合支持・不支持の圧力もかけられません。選挙で選ばれた労働者代表と組合代表が労働者を代表します。任期は2年で再任可能です。雇用主は毎月集団面談を行い、掲示板を設け、従業員60人以上では代表者用の部屋を用意します。正代表1人につき、会議の有給時間に加えて月15時間の有給代表活動時間が認められます。雇用主は社会・経済組織、苦情、職場安全について代表と協議します。正・補欠代表、退任後12か月以内の元代表、立候補後6か月以内の候補者の解雇には、事前の労働監督局許可が必要です。チャド全国雇用主連盟(Conseil National du Patronat Tchadien、CNPT)は全国雇用主団体で、雇用主代表、社会対話、訓練、中小企業の利益を支援します。 業種別・産業横断的労働協約は、労働大臣または代理人の下、雇用主と組合が同数参加する混合委員会で交渉します。企業交渉では雇用主・労働者代表団を置き、少なくとも1週間前に監督官へ通知し、交渉時間は有給扱いです。協約は省庁へ届け出ます。省庁は1か月以内に意見を出す、または再協議を求めることができます。2002年の全国一般労働協約は、代表、契約、賃金、給付、労働時間、休暇、職種区分を扱います。企業が売却、合併、転換された場合も既存の労働協約は新雇用主を拘束します。 労働者は通常、個別紛争を労働監督局または監督官に口頭・書面で申し立てます。労働・社会保障裁判所へ進む前に義務的調停を行い、和解記録は執行可能で、裁判所書記局に提出します。同裁判所は雇用契約の締結、履行、一時停止、変更、終了、労働協約、CNPSに関する紛争を扱います。解雇紛争では、理由を立証する責任は雇用主にあります。通常解雇には客観的または重大な理由、書面による呼出し、通知が必要です。無期契約の予告期間は15日、勤続1年後に1か月、勤続3年以上で2か月です。予告手当で代替できます。勤続2年以上では退職金として、最初の5年間は平均総月給の年25%、次の5年間は30%、11年目以降は35%を支給します。不当解雇損害賠償に法定上限はありません。集団紛争では調停を行い、不調記録後2営業日以内に合意した場合、控訴裁判所の委員会による仲裁を利用できます。ストライキとロックアウトは労働法典に従います。 経済的解雇は、技術変化、再編、経済的困難、事業閉鎖による職務廃止・変更を対象とします。雇用主は対象職務、候補者、選定基準の一覧を書面で労働者代表に渡します。代表には回答に8営業日があり、その後情報を監督官に送ります。雇用主、代表、労働者、監督官は、労働時間短縮、シフト変更、パートタイム、技術的失業、会社再編、労働協約、合意に基づく賃金引下げなどの代替策を最長30営業日協議します。選定は、法定順序に従い、職業技能、勤続年数、家族責任、年齢を基準にします。予告と退職金は支払われ、解雇後1年の再雇用優先権は1か月以内の申請で認められます。一般労働協約は2年に延長する場合があります。
チャドでの雇用主
チャドの雇用主とは、賃金を支払う労働者を少なくとも1人指揮する、公的または民間の個人・組織です。採用、記録、賃金、社会保障登録、職場の安全、労働者代表、雇用紛争への対応を担います。正式な雇用主の義務は主に登録済みで賃金を支払う組織に関係しますが、仕事の約88%は非公式で、多くの家族経営活動には正式な雇用主の仕組みがありません。
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